SLN TXT 2001/02/18 特別版パンフレット用TXT
2001年5月20日改訂
ここよりCDマスタリングに関して専門用語が多用されています。
・会社概要
Sound Lab Nakata(以下SLN)は、1997年よりCD-Rオーディオ制作環境等の調査を開始し、約1年間に及ぶ研究・リサーチの後、起業。2000年春より、作業範囲の拡大を目指し、外部からの受注に応じられる環境を確立。
SLNは研究当初よりCD−Rによるオーディオ(CD-DA)のプレスマスターディスクを制作することを目的としています。マスターディスクとは、オーディオCDを作成するときに必要な”プリマスタリングディスク”と呼ばれるディスクのことです。
※現在、CDプレスの原盤としてCD−Rが多く使用されています。
現在世の中に存在するCD−Rには大別して次の4種類があります。
@ 高速書き込みオーディオCD−R
A 等倍速書き込み高品質オーディオCD−R
B デジタルデータ保存用データCD−ROM
C プレスマスター用CD−RまたはCD−ROM
これより上記の@〜Cについて詳しく説明します。
@高速書き込みオーディオCD−Rについて
通常、音楽CDの再生は、60分間記録されていれば再生にも60分かかります。
一般家庭用の多くのCDプレーヤーで再生した場合、再生線速度(再生速度)は固定され
ており、その速度を“等倍速”(1倍速)と呼びます。元来、CD−Rは等倍速でしか書き
込みができませんでした。しかし、コンピューターの世界では現在16倍速で書き込める
ドライブ(書き込む機械)・メディア(ここではCD−R生ディスク)がすでに販売され
ています。高速書き込みの最大の利点は作業時間の短縮ですが、SLNで行った高速書き込
み実験の結果、高速書き込みにおいて重大な問題点が検出されました。オーディオCD−R
製造時に“等倍速” “2倍速” “4倍速”で書き込まれた音声ディスクには非常に大きな音質
の差が含まれていることが判明しました。問題点を以下に列挙します。
・等倍速書き込みされたオーディオCD−Rについて
全くデーターの欠落がなく、複数回の聞き取り試験の結果、マスターと同等という
結果が得られる。(慎重に、正しい方法で書き込みを行った場合)
・2倍速で書き込まれたオーディオCD−Rについて(ここより高速書き込みとする)
データーの欠落は観測されない。しかし、聞き取り試験の結果、マスターには含ま
れていない雑音と、音質の変化があり、マスターと同等とは言えない。
(市販のポピュラー音楽ではあまり問題になる変化とは言えない)
・4倍速で書き込まれたオーディオCD−Rについて
データーの欠落が、極々少量検出される。(記録ディスクによるが、当方指定の
メディアでは検出不可能)聞き取り試験の結果、2倍速書き込みと同じ症状が劇的に
増えている。もはやマスターとは別物である。
(市販のポピュラー音楽CDなどのCD−Rへのコピーでは、2倍速より劣化する
ものの、あまり問題になる変化とは言えない)
・8倍速で書き込まれたオーディオCD−Rについて
最新のドライブ・メディアでさえオーディオCD−Rを正しく焼きこむことが不能
となる。このレベルでさえ、一般のCDコピー程度では問題にならない。逆に、高速書き込み
ドライブでは、等倍速での書き込みは不得意である。高速書き込みドライブでは2
倍速以上での書き込みの方が良好な書き込みが行われる場合が多い。
注)上記の実験結果は、オーディオCD(CD−DA)を書き込んだ場合に起こることで、通常のデータ(CD−ROM)を書き込んだ場合には、全く問題はありません。
この実験は、CD−R書き込みシステムを導入した時より継続的に行ってきたものです。上記の実験の結果、等倍速と2倍速・4倍速で書き込まれたディスクにはマスターデーターとの差(欠落)はなく、一見同一のように思われるかもしれませんが、聞き取り試験の結果には大きな差があると言えます。記録されたデジタルデータにはほとんど問題がありませんがしかし、聞き取り試験の結果は驚くことに、マスターとは異なる“マスターに良く似た程度の物”しか製造できませんでした。
SLNは、この音質の劣化は“ジッター”に原因があると考えています。“ジッター”とは、時間軸の揺らぎという意味です。通常、音楽・音声CDを再生する時、CDはプレーヤーの中で回転します。高精度に読み取りを行うためには、この回転は非常に安定している必要があります。等倍速での回転精度には、ほぼ全てのメーカーに“測定限界以下”という保証があります。
しかし、例えば4倍速で書き込みを行うと、回転精度は4分の1以下(推定)となり、大きく規定値を超えます。CD−Rオーディオ書き込み時には読み取り時以上の安定した回転精度を必要とし、それは2倍速以上では保証対象外となってしまいます。従って、高速書き込み時に必要な“安定した回転”を維持することは非常に難しく、どうしても回転にムラが生じ、その回転ムラがそのまま記録されてしまいます。これが時間軸の揺らぎ、すなわち“ジッター”です。しかし、等倍速書き込みされたディスクにもジッターは含まれていますが、(測定限界以下)事実上全く問題ないレベルでの発生は無視できます。2倍速・4倍速で書き込まれたディスクに関しては、読み取りが不安定になるレベルまでジッターが急増することで音質の劣化が発生すると考えております。ジッターが一定以上になると、読みとり不良データーが増え、情報の欠落が始まります。ジッター・読み取り不能カ所のあるディスクは差分検出・聞き取り調査で除外が可能です。
※読みとり不良データー
デジタル信号の中に”C1・C2”というフラグ(マーク)が出力される。これは
”collective コレクティブ”修復可能エラーのことで、実際には音質に影響を与える
ことはないとされている。しかし、このフラグが出力されるということは、書き込み
精度が悪いことを意味する。よって、違うCDプレーヤーでは音色が変わる原因となる。
初期のCDプレーヤーによっては”V1・V2”フラグを出力するものもある。
(良質のCD−Rとは、再生機器によって音質の差が出にくいものとする。)
”V1フラグ” 前値補完‥‥読みとり不能箇所の前のデータを出力。
”V2フラグ” ミュート‥‥読みとり不能箇所には無音部分を出力。
SLNでの製品に関してはマスタークォリティーを保持できるだけの低ジッターディスクを制作可能ですが、残念ながら全てのプレス工場が低ジッターである保証はなく、工場で規定された数値以下のジッターであれば出荷してしまいます。この数値はCD−ROM制作では全く問題ないレベルですが、製品版オーディオCD制作の場合には致命的な場合が多々あります。(SLNの解析・調査では、そのような粗悪なCDを製造している工場が多いことが判明している)SLNでは、プレスマスターを納入後、プレス会社は量産に入る前にテストプレスディスク(実際にプレスされたディスクのこと。発注者に音質やエラーがないことを認証してもらうための無地のディスク)の検聴を行った後、問題がなければ量産を開始します。
SLNが制作した最初のプレスマスターディスクの検査では、当初発注していたプレス会社から送られてきたテストプレスディスクには非常に多くのジッター成分(おそらくV2以上のエラーを含む)がありました。詳しい検査の結果、多量のデーター欠落まで検出され、結局不採用となった経緯があります。聞き取り調査では、全体がノイズで出来ているような空気感のない音に変化し、マスターDAT(マスターテープ)に含まれる音の透明感は全くありませんでした。調査を進めるにつれて、SLNで制作したプレスマスターディスクを約8倍速(CAV *1)で読みとり、8倍速で書き込まれた物と判明しました。その後、このような問題を以前克服したプレス会社へ委託し、無事量産に至りました。
*1 CAV=Constant Angular Velocity 角速度一定 常に一定の回転数でディスクを回転させること。通常、データーディスク・CD−ROMなどに使用される。
注)機械的な制御が簡単。
CLV=Constant Linear Velocity 線速度一定 通常のCD再生では、最内周(539rpm)と最外周(210rpm)とでは回転速度が異なる。これはオーディオCDが、毎秒1.3mの線速度で読み込まれているからである。(等倍速・74分メディア時)
注)機械的な制御が困難。
最近では、とても安く、簡単に音楽・音声CD−Rの製造を行っている会社があります。
納期・値段だけをみれば、とても魅力的なのですが、その製造にかかる時間・コストからの推測では、明らかに4倍速以上で製造されているものと思われます。さらに、CD−R制作会社向けに8倍速書き込みにおいても高音質を保証したデュプリケーター(量産機)が販売されていますが、物理的な問題(回転ムラ=ジッター)はほとんど解決しておらず、“音飛びが発生しない”程度のものが横行しているのが現状です。
上記の結果、SLNでは等倍速以外の速度で書き込まれた音楽・音声CD−Rの製造・販売は行いません。
・高速書き込みされたディスクの利点と問題点
・利点 ・問題点
作業時間の短縮 音質・精度のの劣化
大量生産が可能 マスターと同一性がない
コスト大幅削減 再生機器での音質差が大きい
A 等倍速書き込み高品質CD−Rについて
@の結果からも分かるように、唯一、マスターと同等である保証のある書き込み方式です。SLNで行った検査の結果、等倍速で書き込まれたディスクに関しては、十二分に安定しており、ほとんどのCDプレーヤーでの安定再生が可能です。
書き込み時間については、たとえば60分間の音声を記録する場合、約64分以上かかります。従って、60分記録ディスクの場合、日産約20枚が限界となります。SLNで設定する値段は、全て等倍速書き込みによる作業のため、他社と比べて割高です。
・等倍速書き込みされたディスクの利点と問題点
・利点 ・問題点
高精度CD−R作成可能 コストが高い
音質劣化が起こらない 作業に時間がかかる
マスター品質の保持
上記の通り、真っ当な音楽・音声CD−Rを作製するには、現在の技術を持ってしても等倍速書き込み以外では品質維持が出来ません。
B デジタルデータ保存用CD−ROMについて
現在、一般CDショップで販売されているCD(読みとり面が銀色の物)の保存耐久年数は、約30年といわれていまが、すでに読みとり不能状態のCDも多々あり、長期保存に耐えうるメディアとはいえません。これは、CDの反射材としてアルミニウムが使用されているからです。通常のCDは3層構造となっており、その中間の反射材としてアルミニウムが使用されています。読みとり不能となる原因の多くは、隙間から入る空気中の酸素によりアルミニウムが錆び、反射率が低下することによるものです。
製造上、きちんと上下のプラスチック部が閉じて、アルミニウム層が完全密閉されてい
ればよいのですが(プラスチック樹脂の分子の隙間からも酸素は入ります)、ごくまれに隙間のある物があり、そのディスクはいずれ読み取り不能となります。しかし、市販されているCD−Rディスクの多くが、反射材に銀(Ag)を使用しています。銀はアルミニウムより反射率が高く、反射材としては最適ですが、アルミニウムと同様、錆の問題があり、長期保存には危険が伴います。
SLNで推奨するディスクは、反射層に金(Au)を使用しています。金は非常に安定した物質で、錆に強く反射材として十分に優れています。従って、上記のような読みとり不能状態に陥ることは考えにくく、反射材に金を使用しているメーカー製ディスクには、100年以上の保存耐久性を保証しています。しかし、金を使用することでディスク製造コストが割高になり、最近ではほぼ全てのメーカーで銀を使用しています。(SLNの調査では銀の反射面は長期保存に不的確とみなしたため長期保存用メディアには使用しておりません)
長期保存には、記録される信号の頑強さも問われます。音楽・音声CDの規格には、キズによる読みとり不能カ所に対して補正能力(CIRC *2)がCD−ROMと比べてそれほど強力な規格ではありません。(それ故に音質・データー劣化が簡単に起こる)これは、通常のCDプレーヤーの再生においては無視できるほどの問題であっても、記録された情報を完全に読みとるには障害となります。そこでSLNでは、コンピューター用のデーターとして記録する“CD−ROM形式”にて長期保存を行っております。この方式では、ディスクに記録する際、非常に強力なデーター補間信号(EDC/ECC *3)が同時に記録されます。この強力なデーター補間信号のおかげで、ディスクに少々傷が入った場合でも完全な読み出しが可能となり、現時点でのマスター保存方式としては最適です。
*2 CIRC=Cross Interleaved Reed Solomon Code 音声CDのデーター補間コード
*3 EDC=Error Detection Codes エラー検出コード
ECC=Error Collection Code エラー訂正コード
・デジタルデータ保存用CD−ROMの利点と問題点
・利点
長期保存に最適
マスターデーターの保存
・問題点
補間信号を同時に書き込むため記録時間が少なくなる。
(1枚につきステレオファイル70分まで)
CDプレーヤーでの再生ができない
(注)長期保存には、専用容器にて冷暗所で保管する必要があります。
C プレスマスター用CD−RまたはCD−ROMについて
ここより、通常の音楽・音声CD−Rの製造法とは大きな違いがあります。
普通、CDを大量生産する場合、直接生産工場へマスターを持ち込む場合と、一般の録音スタジオで音声処理・プレスマスター制作を行う場合があります。前者の場合、直接マスターが音質劣化なしにCDとしてできあがる可能性は、残念ながら非常に低く、発注者からの苦情防止策として、安易な処理がなされる可能性が大いにあります。その代表例を以下に挙げます。
・マスターがカセットテープ、オープンテープの場合、ノイズを目立たなくする。
・録音レベルを持ち上げる。(通常6〜12dB 音圧に対して2〜4倍)
・低域と高域の音を持ち上げる。
・リバーブ処理。(音に響きを付け加え、聞き易くする)
CDの発注者が処理を断っても上記の処理がなされる場合があり、必ず量産に入る前に送られてくるテストプレス盤のCDを聞いて判断する必要があります。(業者の中にはテストディスクの提出ができない所もあるそうです)歴史的価値のある録音物の場合、上記の処理がなされると致命的です。音質は処理を重ねるごとに確実に劣化し、マスターに含まれる音声情報は損なわれ、原型を失っていきます。(一般大衆向けに処理を行う事は常識となっている)
後者の一般的な録音スタジオでの音声処理は、生産工場で行われる事より高度な処理を行う所もありますが、全ての録音スタジオに優良な技術者がいるとは限りません。発注者は出来るだけスタジオ等で行われる作業に立ち会い、品質管理を行うことを勧めます。SLNにおいてプレスマスターを制作する場合、以下の手順となります。
1 マスターの確認
これは、発注者から受け取るメディアにより作業が異なります。受け取ったメディアが無傷の場合(カセットテープ・オープンテープの場合)信号処理を行うかどうかを発注者と相談の上決定します。
2 マスターの再生
カセット・オープンテープを再生する場合、記録したレコーダーの状態を再現しながらテープを再生します。これは、レコーダーにはそれぞれ個体差があり、同一のレコーダーにおいても録音時の再現は必要不可欠です。
長期保管されたカセットテープ・オープンテープは、保管条件・テープの銘柄によりテープ自体が老朽化し、通常の再生が非常に困難な場合があります。その場合、発注者と相談の上、専門技術者により再生作業を行います。
(老朽化・テープの再生困難度によります。 料金別途)
3 音声修復
ここでは、音声の修復作業を行います。修復できる内容は以下の通りです。
・ノイズの低減・・・耳につくノイズを低減
・高域の補正・・・・くもった音を聞こえやすく
・音圧の増加・・・・普段聴かれるCDのような音量に変換
・再生速度の補正 聞き取りにくい音声を修復...等...
これらの処理は、発注者と相談の上実行します。(劣化・修復の内容によります。 料金別途)
しかし、良好な再生が可能な歴史的価値・学術的遺産価値のあるマスターに関しては、信号処理を一切行わず、出来るだけマスターに忠実なCD−Rの作製が、マスターの保存・配布には的確といえます。
4 マスターの取り込み
SLNでは、CD−R制作にオリジナルワークステーションを使用しています。ワークステーションに音声を取り込む際、音声はデジタル信号化し保存されます。マスター取り込みの際に使用するデジタルインターフェイスには、SLNが厳選した物を使用しており、DATマスターを取り込んだ場合、ジッター吸収率・エラーコレクトが十分保証されているため、差分検出検査で差分は観測されません。
5 編集・トラックマーク作製(P・Qコード打ち込み)
取り込んだ音声データーからCD−R書き込み用データーへ変換します。ここでは、簡単な編集とCD−Rのトラックナンバーを書き込んでいきます。
簡単な編集とは、CD−Rの頭の部分をフェード・イン(徐々にボリュームを大きく)したり、最後の部分をフェード・アウト(フェード・インの逆)を行います。(この処理も発注者と相談の上、決定します)
トラックマークは、音の始まるタイミングを設定可能です。トラックマークの位置は、発注者と相談の上、正確に書き込みを行います。
6 テストライト
上記1〜5までを行った後、サンプルCD−Rをお届けします。もしここで問題があるようでしたら、必要な箇所まで遡り検証し、適切な処理を行います。
7 プレスマスターディスク作製
サンプルCD−Rに問題がない場合、プレスマスターディスク制作に移行します。ここより、通常の音楽・音声CD−Rとは違った製法となります。もちろん使用されるディスクも違います。
・書き込みが終わったディスクに対してデーター欠落がないかどうかチェック。
書き込みが終わったディスクと、ワークステーションの中にあるマスターデーターに差がないかどうか検査。これは差分検出検査といい、書き込まれたデーターとマスターの同一度を検査するものです。この検査で、データーの差が1つでも検出された場合NGディスクとし、書き込みを最初からやり直します。基本的に等倍速書き込みの場合、差分の発生する確率は非常に低く、ほとんどのディスクで100%の同一性を確保できます。
・差分検査で差が出ない場合でも、聞き取り検査で劣化がみられる場合。
もう一枚書き込みを行い、再度差分検出検査の後、聞き取り検査を行います。過去の成績では、最高5枚書き込みを行い、その中から選別された物をお渡しした事がありました。(5枚とも差分検出検査をパスしています)
現在では、非常に優秀なディスクが入手可能となったため、最高で2枚程度の焼き直しでマスタークォリティーを保つことが出来ます。
*プレスマスターディスクの条件として、通常の高精度CD−Rとは違い、完全にデーター欠落のない状態でプレス工場へ送る必要があるため、検査項目が多く、複雑になります。そのため、プレスマスターディスク制作には最短で4〜7時間かかり、日産2〜3枚が限度となります。なお、プレスマスターディスクは、CD−ROM形式でも制作可能ですが、プレス工場がCD−ROMデーター形式に対応していることが条件です。CD−ROM形式の場合、日産4枚まで作成可能です。
8 専用容器に封入し配送。
SLNより発注者へ直送いたします。ディスク到着後、確認作業をされることをお勧めしますが、プレスマスターディスク自体を取り扱うためには以下の注意が必要です。
(注)CD−ROM形式にて納品を希望される場合、CD−ROMと音声CD−Rを発注者へ配送します。
・ほこり、たばこの煙、油煙のある場所、湿度・温度の高い場所では、開封厳禁。
微細なゴミの付着も読みとり不良につながり、プレスマスターとしての品質を維持できません。とくに、たばこの煙・油煙には十分気をつけてください。
・ディスクを取り出すとき、湾曲させたり無理な力をかけない。
目に見えないダメージをディスクに与える可能性が高く、読みとり不良の原因となります。絶対に無理な力をかけないでください。
(注)無理な力を掛けると、CD−R記録層である有機色素が損傷を受け、最悪の場合NGディスクとなります。(色素の見た目は変わりません)
・盤面に指紋を付けない。
信号記録面だけではなく、レーベル面にも気をつけてください。もし、信号面に指紋、汚れが付着した場合にはふき取らず、こちらへ送り返してください。専用クリーナーにて洗浄します。決して柔らかい布・CDクリーナーでのクリーニングは行わないでください。プレスマスターとしての品質を維持できません。検聴中にキズが入った場合は、マスターの作り直しを行います。
・太陽光線にさらさない
CD−Rは太陽光線に弱く、記録されたデーターが損傷を受ける可能性があります。
しかし、有名メーカー製のディスクは、加速耐光テストの結果、数百日間の耐光性能を示しましたが、”暗所にて保管すること”とあります。
・レーベル面にできるだけ触れない
CD−Rのレーベル面は、非常にデリケートです。ほんの少し触れるだけでも記録されている有機色素に触れたこととなります。
レーベル面印刷について
印刷精度は写真画質にて行えます。(フルカラー・1800dpi相当)
対応メディアは、プリンタブルディスクの必要がありますが、レーベル面に直接印刷することで、シール方式とは違い、偏心(ディスクの重心が偏る)・反りの心配がありません。
SLNで以前行ったシール方式でのレーベル印刷には、非常に危険な要素が含まれることが判明しました。約3年前、SLNの実験でシール方式による印刷を行いました。最近になってそのシールを貼り付けたディスクの面が反り上がっていることに気付きました。(中心部と外周部で最大1.5mm)その結果、再生不能に陥るだけではなく、CDプレーヤーから取り出しが不可能となる可能性もあります。
当方の研究結果、特定のコーティングを行うことで、スロットインタイプのプレーヤーにも対応。
(注)シール方式は音質に非常に大きな影響を与えます。
シール方式での問題点
1 反り
・ディスクが反ることにより、CDの規格から大きくはずれる。(この時点で既にNG)
・ディスクの反りは内部の組織にも及び、反射面が不安定になる。(読み取り精度の悪化)
・ディスク上部が収縮することで反射材がダメージを受ける。(最悪の場合、反射層の脱落を招く)
・プレーヤー内部で擦過傷が発生する可能性がある。特にカーオーディオCDプレーヤーの場合、
プレーヤーに入らない場合もある。
これらは、シールに使用されている接着剤が経年変化を起こし、収縮することで起こる事が判明している。
2 偏心(回転体の中心位置が、回転軸よりずれていること)
・規格以上のディスクの偏心は、読み取り精度に非常に大きな影響があり、シールをきれいに中心部へ貼った程度では精度が出ない。そもそもシールが偏心している可能性が大きい。
偏心は、読み取り・書き込みに対して非常に大きな問題である。市販のCD−R・音声CDのディスクでも若干の偏心は含まれているが、誤差範囲内で、十分に数値が少ない事が原則である。シールを貼り付けたディスクは、品質としてはSLNの規格を大きく下回るものとなり、現在SLNでは使用厳禁となっている。偏心は、ジッターの起きる原因の一つでもあり、このために同じ銘柄のディスクを使用しているにもかかわらずジッター成分は変化する。もちろんロットが違えばその差も大きい。
その他
・シール接着剤による反射材・コーティングへのダメージ。
接着剤に含まれる化学物質によりディスク上部のコーティング等が損傷を受ける。これはSLNの予測であるが、CD−Rの母材は何らかのダメージを受けている可能性がある。
現在、市販されているレーベル用印刷シールでも同様の問題が起こる可能性が非常に高く、シールを貼ることによる偏心・変形は避けられないと考えている。
・レーベル印刷での問題点
印刷に使用するインクが水性であるため、ある程度の湿度中に放置すると印刷がにじむことが確認されています。これを防ぐには、コーティングスプレーを塗布する手法がありますが、コーティング剤で扁心する可能性が高く、高精度ディスクには、あまりおすすめできません。
なお、印刷可能なディスクは、ABのみとし、Cには印刷を行いません。ジャケット印刷は、ABCに対して行います。
印刷料金は、デザイン・モノクロ・カラーにより異なります。詳しくは問い合わせください。
・入稿可能な印刷物
A4までのプリント又は平面物(フラットベッドスキャナーで読みとり可能のもの)
35mmから4×5inchまでのネガ・ポジフィルム
フォトCD
CD−ROM(Photoshop Illustlator BMP JPG GIF等 Windows format)
・当社で使用されているCDライティングシステムについて
研究当初、4倍速書き込みドライブを試験的に使用。4倍速までのドライブであれば等倍速での書き込みに十分な(通常のCD書き込み)精度が得られることが判明。
高速ドライブ(8倍速以上)のドライブに関しては、逆に等倍速書き込みは不得意で、2倍速での書き込みの方が安定している。(等倍速には及ばない)
SLNで使用のドライブは、独自の電源安定化・制振を図り、いかなる場合でも安定して書き込みが可能となっております。マスターディスク以外のすべてのディスクに”準マスタークラス”の精度を保証します。
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