HONDA CB-50S 紹介 今更ながら紹介します



HONDA CB50S 1980年製

エンジン 空冷 4サイクルOHCシングル49cc
ボア 42mm ストローク 35.6mm 圧縮比 9.5
最高出力 6.3ps/10500rpm 最大トルク 0.43kg/9500rpm
ミッション 5速 乾燥重量 83kg


 このバイクは今やプレミア価格で取り引きされ、一般市場価格は10万円前後。(キレイであれば)
主に、ミニ4ストが好きなバイク屋に生息。きれいな物は異常に高額なため、中古バイク屋での入手をあきらめ、バイク輸出屋でほどよく朽ち果てたCB50を発見、即購入。わくわくしながら整備にかかり、ふと走行距離を見るとなんと83000km!! やられた。8300kmにしてはよく腐ってるなと思っていたのだ。トホホ。一桁多かった。
 しかし、キャブ、その他クリーニング・部品交換を行った後、エンジンは見違えるように元気を取り戻し、今なお絶好調である。しかし、50cc4stの”蚊”のような貧弱なトルクには泣かされ続けている... 買った直後は”蚤”のトルクだったのか。
 基本的に高回転・高出力型のエンジンで、元々トルクはスカである。実用回転域は、7500〜11500rpm 所詮50ccである。高望みはできない。

 その後、1万キロ以上走るが、今なお元気にカチ回している。が、できることならトルクで走ることができるようにもしたい。買い物に行くのにカチ回していたのでは近所迷惑だ。規制前のバイクなので、メガホンスタイルのマフラーはそれほど消音性に優れていない。その代わりイイ音がする。

というわけでトルク回復絶叫計画
1、エンジンそのものに手を加えない。(ボアアップ等)
  これははっきり言って壁である。なぜならトルクアップへの最短距離はボアアップとキャブの
  交換だからだ。しかしこれではおもしろくない。

2、お手ごろ価格であること
  簡単なパーツ交換(5000円以下)で、効果のありそうなパーツ、その他を実験的に試す。

3、簡単にできること
  日常で使うため、エンジンを下ろしてバラす...といったことは極力さける。
  クランクケースとオーバーヘッドのフタを開けるくらいがせいぜい。(結局めんどくさい...)

 まず、気になっていたのがオイルである。買った直後に交換したのだが、出てきたエンジンオイル?
は、ほとんどモリブデングリスに近かった。今でもちょっとだけ後悔しているが、そのときしっかりフラッシングしておけば良かった。
 最初に使用したオイルは、確かホンダの純正。わりと短距離で交換していたため調子は良かった。
しかし、人間には欲という物があり、もっとマッチングの良いオイルがあるのではと模索を始める。といっても使用・期待できそうなオイルがそれほどないため、数はそれほどこなしていない。何しろ古いエンジンで、100%シンセオイルはちょっとサラサラですぎてヤバイということを聞いていたため、数種類試した後にカストロールXF−08で落ち着いている。感想は、ホンダ純正よりレスポンスが若干良くなった。その代わり、若干熱ダレを起こしやすくなり、夏場の高原はちょっとしんどい。
 以前、オイル購入費がなく、余っていたトヨタのGF−1というオイルを使用したことがあったが、純正と何ら変わらず動いてくれた。別にクラッチも滑ることなくわりと快適だった。
 その後、”カストロール GPS”を試す。100%シンセオイルはさすがに良いが高額なため一回ぽっきりで止めにする。金が余ったらモチュールも試してみよう。

エンジンオイル添加剤
 はっきり言って高い代物。最近では”ゾイル”という高性能添加剤も発売されているが、貧乏人には買えない。せいぜいホームセンターなどにおいてある二硫化モリブデンの安物だけだ。最初の頃は何種類か使用したが、いかんせん50ccである。気分的に良くなった・音が静かになった位の差しかわからなかった。今ならちょっとはわかるかも。(バイクにモリブデンは×である。クラッチが滑るらしい)

プラグ
 はっきり言って、これが一番良くきいた。標準品として”NGK C6HA”を使用し、ずいぶん走っていた。きれいにきつね色に焼けたプラグは調子が良く、わりと満足だった。しかし、ここでまた欲がでた。良く行くバイク屋で見かけた”デンソーイリジウム”プラグの先端形状がとがっていて、アース側にも失火防止用のスリットが刻まれており、高性能・高耐久性をうたうプラグだ。使用感としては、”都会の蚊”が”ヤブ蚊”に変身。
 体感できるほどのトルクアップが期待できる。これは良い。しかし、NGKの規格より2ランク熱価の高い物しかなかったため、若干くすぶるが軽くフカすと復活する。”ヤブ蚊”になったおかげで実用低回転域が下がり、燃費が延びた。

スパークエキサイター
 これはプラグキャップの中に高圧コンデンサーが仕組まれている物で、より着実にプラグへ高電圧をとばし着火できるようにする物である。奈良へ走りに行ったついでに、道沿いのバイク屋で衝動買い。
 走着後、体感できるほどのトルクの変化はなかったが、明らかに高回転の吹き抜けが良くなった。
 NGKのノーマルプラグでも試したが、同じ変化が現れた。馬力アップとはこういうことか。
 (注)回りすぎるため、タコメーターのレッドゾーンから大きくはみ出す事あり。要注意。壊れる...
 メカニズム的には、どうやら個人で作れるレベルらしい。

点火時期
 CB50はフラマグ点火(死語か??)なので、わりと簡単に点火時期を変更できる。購入時にきれいに合わせておいたが、やや気になっていた場所でもある。数度のポイントセッティング後、コンタクトブレーカーそのものを交換することとなり、特工を借りて純正品と交換。
 驚いたことに、よくこんな状態で走っていたもんだというくらい接点が御陀仏状態だった。やはり新品に交換することで、低域のトルクはもちろん高回転も良く回るようになり、非常にうれしい。200kmほど走って再度調節。接点のアタリがでたため安定する。
 標準位置より若干ポイントを遅らせることで”ヤブ蚊+”くらいはトルクをかせいでいる。そのかわり、進角後とのバランスが難しく、少しでも遅らせすぎると”蚤−2”くらいになってしまう。
当然、リミッターなどという”ハイテク装置”は付いていない。スピードメーターなんか90Kまで切ってある。

チェーン・ドライブスプロケット
 購入時にもチェック済みだが、前後スプロケットはまだ使用可能で問題ないが、チェーンはそろそろ寿命かと思い、ちょっと良いチェーンと交換する。ついでにドライブスプロケを12Tから13Tに変更。上のトルク増強計画で稼いだ”ヤブ蚊+”のトルクはここで相殺される。その代わり、チェーンの交換で音がだいぶ静かになり燃費も若干延びた。レスポンスも良い。
 チェーンオイルに特殊な物を使わずに、余ったエンジンオイルで潤滑。こまめに給油することでわりと長期間性能を維持することができる。これはお得だ。時々町中で茶色くさびた&キンキンに張ったチェーンで走っているバイクをよく見かけるが(本当によく見る。特に大阪電電タウン近辺)ちょっとした恐怖を感じる。そんなバイクの直後は絶対に走らない。ちぎれて飛んできたらさらに恐怖である。

総評
 ”蚊”のようなトルクは”ヤブ蚊+”にまで復活した。元々ツーリング目的で購入したバイクなので、長距離を安定して走れてナンボである。速く走るのであれば400ccに乗ればよい。しかし、所詮50ccと思うなかれ。そろそろ10万キロに近いが(2001年3月突破)ほんとに良く走る。恐るべし本田宗一郎。まさか20年経った後に定価の1.5倍価近くで取り引きされるとは思っていなかっただろう。ちなみにXE50は3万円で朽ちていた。朽ちていないモトラはやはり高かった。
 直せる技術があるのなら、輸出バイク屋が狙い目である。思わぬレアバイクが入手可能だ。
 その後もコンスタントにオイル交換等、メンテナンスを行っている。長生きしてくれCB50。

追加
 買った当時は漏れていなかったはずのガソリンが、丹後で立ちごけした後からチビチビ漏れるようになった。
帰宅後、ガソリンを抜き、タンクをはずしチェック。なんとあちこち塗装が浮いているところを発見!!
 しょうがない。ハンダで補強するか、とマイナスドライバで塗装をはがしていると”ズボッ!!”なにぃーーーっ?
その後、あちこちで”ズボッ!ズボッ!”あぁぁぁぁ、穴だらけ!!! このタンクは塗装でかろうじて持っていたのか。ハァーーーッ。
 とりあえず穴の開いているところと塗装の浮いているところはすべて塗装をはがし、ヤスリ掛けした後、銅板とハンダでふさぐことにする。
 作業時間、計5時間。タンクの左側下にはほとんどハンダの海になった。どうやら相当水がたまっていたようだ。
 一通り穴をふさぎ終え、試しにガソリンを入れると、フューエルコックの付け根からジワーッと漏れる。こりゃダメだ。
ここに穴開けたらコックがもげる。とても慎重にハンダで補強。何とかガス漏れは収まった。どこかでタンクを見つけてこなくては...

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